祈りの日・誓いの日

8年前から3月11日という日は、日本人にとって決して忘れられない日になった。いや忘れてはならない日になったと言った方が良いのかもしれない。

警察庁が8日に発表した東日本大震災の更新被害状況の数字を見ると、死者1万5897人、行方不明者2533人となっている。死者数の膨大な数に改めてあの震災が未曽有の災害であったことを感ずるとともに、いまだに行方不明とされている人が2.533人もいることに心が痛む。そして地震に加えて津波が襲った被害の怖さを思い知る。

行方不明とされている人の家族にとってそのことは、震災被害に加えて、さらに何倍もの苦しみと哀しみを与えているという意味ではないのだろうか。心中を慮るとやるせない気持ちになる。

数年前のニュースで、遺体が見つからない幼子の母親が、パワーショベルの免許を取得して、娘の遺体を探し続けているという報道に触れ、心が激しく痛んだ。被災地ではまだそうした人々がいるのだろう。その人たちの心の安寧が訪れる日がいつか来るのだろうか・・・。

そんなふうに今も被災地には、死者・行方不明者の数の何倍もの人の慟哭が存在し続けているのだと思う。

愛する誰かを失った人にとって、時は哀しみを癒してくれるというのは第3者の戯言(たわごと)に過ぎない。少なくとも8年という歳月は、愛する誰かを失った人の心を癒すには短か過ぎる。むしろその悲しみは深まるばかりなのではないだろうか。その人たちにどんな声を掛けられるというのだろうか。何ができるというのだろうか。

僕が今できることは、もう二度とあのような災害が発生しないことを神に祈り、哀しみに暮れる人々に安らかな日が訪れることを祈ることだけだ。亡くなられたすべての御霊に向かって哀悼の意を捧げ、頭を深く垂れて祈るしかない。3月11日という日はそんな祈りの日である。

あの震災では、介護サービスを受けていた最中の方々もたくさん命を失われた。同時に介護サービスに従事していた数多くの仲間たちも命を失っている。

このブログは震災当時も1日4.000件程度のアクセス数があった。それは僕と直接知り合いではない介護関係者の方が、たくさん読者となってくれていたという意味でもある。その中には被災地の関係者の方々もおられるであろう。そうであれば被災者の中にも、このブログの読者だった方が含まれているだろうと想像できる。直接知り合うことはなかった方々、コミュニケーションを交わすことはなかった読者の方々が、僕の知らない場所で天に召されていったのかもしれない。そのことを考えると、その人たちの介護という職業に対する思いとは何だったのかと考えてしまう。そしてその人たちが実現したかった思いをつなげていきたいと心から思う。

介護という職業を、仕事としてではなく、「生き方」として選んだ人が、思いもよらぬ災害に巻き込まれて、志し半ばで命を失ってしまったことは、さぞや無念であったろう。それらの人々が、あの震災によって達することができなかったことを、残された僕たちが替わって実現する必要があるのではないだろうか。その人たちの志を残された僕たちが受け継がねばならないと強く思う。

対人援助の本質である、「人の暮らしを護る方法論」・「人の心の安寧を実現する方法論」を伝え続けていくことが、残された僕たちの使命ではないかと思う。

日本という国が、決してきれいでよい顔だけを持つ国ではないとしても、自分が住まう国の様々なことをあきらめることなく、生まれてよかったと思える国にしていく努力は失ってはならない。介護という仕事に「闇」が存在するとしても、それを失くす努力を失ってはならない。

介護という職業を批評し批判し、糾弾するだけの行為は評論家の戯言だと思えばよい。それは生産性のない醜い行為だと蔑んでおけばよい。実践家には批評家には見えない頂が見えるはずだ。実践家は今よりプラスのベクトルをみつめ、そこに向かう方法論を導き出して、その頂に向かう行動をとることができるはずだ。そのことを決してあきらめてはならない。時間も無駄にできない。だから他人の中傷や戯言に付き合っている暇はないのである。

生かされている者にしかできないことがある。生かされている者だからこそできることがある。生かされている意味を考え続ける必要もある。生かされている者が行動することにも意味がある。

そんなことを考えながら、誓いを新たにするのが3月11日という日でもある。

頭を垂れて祈りを捧げたあとは、前を向いて誓いを胸に歩き出さねばならない。その歩みを一人の歩みにせず、たくさんの仲間との一歩ずつにするために、僕にはできることがある。

貴方にもできることがあるはずだ。
東日本大震災

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Source: masaの介護福祉情報裏板