介護で一番嫌なことは・・・?

介護で一番嫌なことは何かって聞かれたら、たいていの人はやっぱりオシモのことだろうか。

認知症の姑が、嫁がちょっと外出したら、嫌がらせのように畳に便をまき散らしてあったとか。

ずいぶん前にお稽古に来ていた同じお弟子さんの話だが、綺麗な方だったけど、いつも眉間に皺が寄っていた。

ご主人は、そんな母親を施設に入れることなく妻に面倒見させ、その代わり欲しいものは何でも買っていいと言われて、そのお嫁さんはいつも素敵なお着物を召されていた。

結局ご自分が病気になられて、今はもうお稽古には来ておられない。

 

男の人は外に対する見栄からか、なかなか施設に入れようとはしないもののようだ。

妻が病気になって初めて気が付くのだろうか。

 

私もナニサマのオシモのことでは何度となく苦しめられた。

それでも、プライドが高かったせいか、オシモ関係の失敗は意外に少なかったような気がする。

ベッドで大量の便をしてしまったときは、ホント焦った。

まずは便を拭って、キャリーチェアに乗せて、風呂場に走ったことを思い出す。拭いたぐらいではきれいにはならないので、シャワーで洗い流すしかなかったのだ。

 

こんな大変な思いもあったにはあったが、私にとって介護で一番嫌なことは、やっぱり入浴の介助かな。

初めは服もすべて私が脱がせていたが、ある時期からはそれはナニサマにしてもらうようにもっていった。

脱いでスッポンポンになったナニサマを抱え込むように風呂に運んでこれまた介護チェアに座らせる。

夏は冷風を、冬は温風を入れて事前に環境を整えておく。

冬は特に、歩く床にはお湯をかけながら、温かくしてあげる。

シャワーを長くかけてやって体を温めてやってから体と髪の毛を洗う。

 

「makoさん、優しくね」

と余計な一言が入る。

ちょっとでも強くこすろうものなら

「痛い!!」

と、ビックリするくらい大きな声で文句を言う。

 

腰が痛い嫁をわざとのように腰をかがめさせ、

「足の指、1本1本洗ってくれんかね」

とのたまう。(;一_一)

 

今思うと、

「おしん」だね。

 

シャワーで終えてくれればありがたいけど、必ず湯船に入りたがる。

足の悪い母親のために浴槽の中には滑り止めを敷く。

ゆっくりと座らせる。

あげるときはもっと大変。

重いナニサマを引き上げるのだから力が要ります。

 

バスタオルの敷いた脱衣室の椅子に座らせ、頭から順番に拭き上げる。

そのあと、熱いとのたまうナニサマをしばし放置し、乾いたころにオムツを穿かせ(2年ほどはパッドを貼った布パンツだった)、パジャマを着せ、薬とヨーグルトを用意し、飲んだら寝かせるという毎日だった。

それも2年くらいで、デイが利用できるようになって週3、2,1と減って行ったと言うわけ。

そして、目を離したすきに椅子からなぜか前かがみに落ち、顔を骨折するという事件が起こり、それをきっかけに私は入浴の介助を頑として突っぱねたのであった。

 

それでも、執拗に「風呂に入れてくれ」と迫っておりましたが、それこそ私はこれを逃すと永遠になると思い、最後まで拒否し続けて入浴介助は無事終了を迎えたと言うわけだ。

 

病院では理学療法士さんからもケアマネさんからも

「ご本人が望んでおられます」

とプレッシャーかけられたけど、最後まで突っ撥ねたのだった。

 

あ~あ、入浴介助はホントつらかった。

仕事から帰ってきてご飯の支度して食べて片付けてから夜の8時ごろからやるのだから、もう体は疲労困憊していたわ。

というか、私もよくやっていたね。(笑)

 

やっぱり「おしん」だわ。

 

そう思うと、入浴介助が無くなってからは、ずいぶん楽になったんだなとは思う。

夫も夜中のトイレ介助を無くして、イライラがなくなったしね。

いろいろ改善しながらの介護だったわけですよ。

 

やっぱり介護は大変。

Source: 鬼嫁介護日記