ツッコミどころ満載のナニサマ

午前中のことだった。

パソコンに向かっている私に、またまた主語のないいきなり会話の夫、

「それじゃあ、行こうか」

はあ?

一瞬思いますよね。

「え?行くの?」

と答えた私に、夫はムッとして

「え?行かないの?」

ときた。

ホント、むかつくんだよね。

 

「おばあちゃんのとこってこと?」

「そうだよ。持って行かないといけないだろ」

 

当然私は行くものと思っている。

しかも持って行くものを用意しなければならない。

もう、面倒くさいから薄手の羽毛の夏布団を紙袋に詰めた。

 

さて、ナニサマのところに行くと、夫は看護師のところへ保険証を預けに行った。

袋を持った私を見て、

「今日は何を持ってきてくれたのかね?」

ですと。

「おばあちゃんが持って来いって言ったものですよ」

「私が何を言ったのかね?」

「夏布団、持ってきてくれって言ったでしょ」

「私、そんなこと言わないわね。持ってきてくれなんて言った覚えないわね」

 

これ、認知症ではありませんから。

自分から言ったことにしたくない、いつものナニサマのスタンス。

 

ふと、ベッドを見ると新しい掛布団がおいてあるではないか。

夏布団だった。

しかも軽い。

 

「ん?これ、夏布団じゃないの。施設の方が出してくれたんじゃないの。軽いし、これで十分じゃないの?」

「あゝ・・・施設の人が勝手にしたことだわね。私は何も言ってないから」

 

ホント、よく言うよねえ。

本気で言ってるんだから、あきれるわ。

 

「夏布団にしてって、おばあちゃんが言ったから、職員さんが気を使ってくれたんじゃないの?」

「○○(義弟)が何か言ったのかね?」

 

この人の自己防衛本能は相変わらずすごい。

 

そこへ夫が帰ってきた。

 

「座布団も新しいの持ってきたからね」

「それは何かね?」

「え?車椅子に載せる座布団だよ」

「いいわね、今の座布団で」

「それは施設の借り物。借りっぱなしじゃダメだろ」

 

それから、ナニサマ、また同じ質問を始めた。

「私はいつまでここにいるのかねえ」と。

びっくりびっくりびっくり

「なに?ここにいたくないのかね?」

と夫が聞くと、だんまり。

 

どうやら夫だと恨みつらみが出るようだ。(笑)

 

「ここにいたくないってことか?」

「・・・そうじゃないけど・・・」

「どうしてほしいのか言ってごらん」

「・・・・・・前のショートステイではダメなのかね?あそこには老人ホームはないのかね?」

「ここは嫌なのかね?」

 

「私、差別されてるんだわ!」

 

ほほほーーーーー!!!!びっくり滝汗

 

「みんなは毎日のようにお風呂に入れてもらえるのに、私は5日に一度、いや6日に1度しか入れてもらえんのだわ」

 

風呂好きバアチャンの致命傷だわね。

私は週2回入れてるって聞いてたけど?

確かにナニサマは機械浴しかダメだから、そう毎日っていうわけにはいかないよね。

自力で入れる人は、入らせてもらえるのかもしれないけどね。

 

差別されていると言われては、夫も迷ったようだった。

が、私は言った。

「おばあちゃんはどこに行っても一緒。必ず不平不満を言う人だから、ハッキリ言ってどこに行っても同じだよ」

 

すると、ナニサマ、

「私なんか死ねばいいのにね」

と、困ったときの「天下の宝刀」を抜いた。

 

ホントホント、どうぞお好きに。

 

それを聞いた夫、夫はこの言葉が一番嫌い。

「あなたねえ、そういうことを言っていいかどうかわかって言ってるのかね?みんながあなたのためにやってあげているというのに、よく平気でそういうことが言えるね」

 

とにかく夜暑くて寝れないのなら、まずパジャマは夏用に替え、夏布団も持ってきたから職員さんに頼んでやってもらうように言った。

 

すると、ナニサマ、

「○○(義弟)が何か欲しいものはないかって言ってくれたんだわね、だから夏のパジャマがほしいって言ったら、makoさんが持ってきてくれたんだわね」

そこで、何を思い出したのか、いきなり

「makoさん、ありがとう。いつもすみません」

と殊勝なことを言い出したかと思うと、

「これからも私のことよろしくお願いします。makoさん、私のこと頼みますね」

とすがるような声を出したのである。

 

すがるのは夫であって、私じゃないと思うんだけど。

それを聞いた夫は、あまりいい気持ちはしなかったようだ。

 

私に言わせれば、ナニサマが恨みがましいことを言えるのは長男の夫だけなんだろうなあって。

そりゃあ~、家に帰りたいのが一番なんだろうけど、それは言っちゃいけないってことだけはわかっているんだろうねえ。

 

そんなもん、嫁が一番に決まってるわ。

遅いの、気づくのが。

はい、残念。

Source: 鬼嫁介護日記