やっぱり病院は長い
朝起きて夫に開口一番訪ねた。
「腰はどう?」
「・・・ダメ・・・」
あ~あ、やっぱりダメか・・・。
ナニサマの病院への送りは10時だそうだ。
私は9時半が歯医者の時間だ。
「とにかく私は歯医者に行くね。でも、内科は明日にするわ」
とだけ告げて出かけた。
終わると、夫から
「メールください」
との伝言。
これはいよいよ重症か~?
なので、「終わりました。今からそちらに行きます」
とメールを送ると、
「お願いします」
と返ってきた。
私が行ったときが、初めて名前を呼ばれたところだった。
夫は腰を曲げ、見るからに苦しそうだった。
そこから私が引き受け、夫には待合の椅子に座っていてもらった。
今回は、特養に入るための健康診断書が要るので、レントゲンや心電図なども撮らないといけない。
ナニサマは、血液採取が済んだところだった。
久しぶりにナニサマの介助をしたら、やっぱり力仕事だった。
自分で立ち上がったり、歩いたり出来なくなったので、抱えて立たせたり、移動させるのは大変だった。
ナニサマ、私の顔を見るなり、
「makoさん、ありがとねえ」
と労ってくれた。
痛そうに腰を曲げながら歩いている夫を見て、
「お父さん、どうしたのかねえ?」って。
「腰が痛いんですよ」
「ゴルフで?」
バアチャン、鋭いわあ~。(笑)
夫も付き添ってはいたけど、結局直接付き添ったのは私。
ついでにあの例の帽子を持って行ってやったら、ナニサマの反応は
上々だった。
「あら、いい帽子ねえ」
やっぱりすっかり忘れているみたいだった。
「おばあちゃん、あなたが作ったらしいよ」
「そうだったかねえ」
「○○(娘)が持ってきてくれたのよ」
「そうかね、それは悪かったねえ」
あまり理解していないみたいだったけど、帽子は気に入ったみたい。
そこからずっと被っていた。
血液とって、オシッコとって、レントゲンとって、心電図とって、皮膚科で診てもらい、最後は内科へ。
終わったのが12時半。
しばらくして施設からのお迎えが来て連れて行ってもらった。
私たちはそれから待たされること30分。
夫は2時から整体が入っていたので、気が気ではない。
ようやく解放されたのが、1時過ぎてました。
一旦家に帰って、夫はすぐに整体へ。
私は処方箋等を持って、ナニサマの施設へ。
施設からもお話があるとのことだったので、私が聞いてきました。
書類が揃ったら、すぐに提出するように言われた。
どうやら、入所が近づいている?
ナニサマのところに寄ったら、階下で「読み聞かせ」をやっていただいているようで部屋にはいなかった。
上着を何枚かタンスの中に仕舞ってきた。
ふと目を上げると、あの帽子が壁にかかっていた。
やっぱり普段は被らないよね。(苦笑)
でもまあ、一応ナニサマの要望には応えたわけだから、もう文句は言わせないよ。
ナニサマ、深く座るとズボンの裾が上がって、靴下との間が空くので寒いとのたまう。
またかよ。
そして、私の履いているズボンを見て
「makoさんのズボンは上がらないんだねえ。それ、いいねえ」
聞こえないふり。
しばらくすると、目の前をスパッツ穿いた若い女性が歩いて行きました。
「makoさん、あーいうのがいいわね」
「ん?スパッツ?」
「あれだと空かなくていいかね」
「おばあちゃん、あんなピッチリしたものなんか穿かないでしょ」
「着せてもらうからいいわね」
「何言ってるの!また足がうっ血して浮腫んじゃうわよ。まだ長い靴下を履く方がいいわよ」
と言ったら、撃沈したのか黙った。(笑)
まあ、次から次と考えること。
それでも最後に、
「悪かったねえ、ありがと」
と言って帰って行ったので、許してやろう。
Source: 鬼嫁介護日記