文例を教えるな。文例学ぶな。

介護業界には文例を教えようとする馬鹿講師がいる。

特に介護支援専門員に向けた研修講師で、ケアプランの文例を教えようとする大馬鹿者がいてどうしようもない。そんな輩が本でも出版したら目も当てられない。本の中に「文例集」を掲載する馬鹿っぷりだからである。ケアプラン作成のノウハウ本に文例を載せる人間は、どうしようもない勘違いした輩だなと思う。

文章の良否は、伝え方の良否とイコールだから、利用者や関係者に伝わるような文章の書き方を指導することは必要な場合がある。文章の書き方を指導できる能力がある人なら、それを行うことは悪いことではないだろう。そういう意味ではケアプランの書き方も、伝わる文章の指導という意味で、教えることはあってよいと思う。

しかし文例を教えてはならないのだ。それは文例を教えられる側の人が、それを頭の中でフォーマット化してしまうことにつながり、それは即ち想像力と応用力を削ぐ結果にしかならないのである。

そもそも相談援助職に求められているのは「答え」という名の「支援する側の価値観の押しつけ」ではない。相談する側がいかに自身の問題に気づいて、自身で解決の道筋を見出すことができるのかを「手伝う」ことである。そのためには想像力と応用力が何よりも必要なのに、安易に文例を使って、自分の言葉で文章を作成する機会を失わせて、個性のない定型文にはめ込むことによって、それらの能力を低下させてしまうのは、相談援助職としてのスキルを低下させる以外の何ものでもないのである。

答えを導き出す、「言葉」や「文章」を定型にはめ込むような押し付けは、おせっかいを通り越してバリアそのものである。

そもそも文章表現に、「決まり」などないのだ。故人となって久しい司馬遼太郎さんはかつて、「小説というものの表現形式の頼もしさは、マヨネーズを作るほどの厳密さもないことである。小説というものは一般的に、当人もしくは読み手にとって気に入らない作品がありえても、出来そこないというものはありえない。」というふうに小説の持つ形式や形態の無定義・非定型という本質を語っている。これは即ち文章表現の多様性と非定型性を表した言葉でもあるのだ。

ケアプランの生活課題や目標も同じことだ。千差万別の様々な暮らしを営む人をアセスメントして、引き出した課題や目標にも、個性ある表現があってよいのだ。そこに正解や不正解があるわけではなく、ケアマネジャーがどう評価して、どう伝えて、どうアプローチするかという問題なのだから、自分の手法に沿った表現方法であるべきなのである。

要はその表現によって、利用者が自分にとって何が必要とされて、どのように社会資源と結び付けられようとしているのかが理解でき、結び付けられた結果がどうなっているのかを把握出来さえすればよいわけである。

文例・定型文の押し付けは、その入り口で支援者の思考回路の一部を閉ざすものでしかない。

そういう意味でも、司馬さんの千分の一の文章力もない馬鹿講師風情が、自分の書いたものによって、自分の作った文例を他人に押し付けるなど一万年早いと言いたい。

文例を紹介したり、本に掲載する馬鹿どもに言いたい。

自分の文章が一番などと勘違いはしていないだろうが、文例を紹介するという意味は、その勘違いと少しも変わらないということだ。そして自分の知識が一番だと思っているという意味だ。しかし知識がすべてとは思わないことだ。

知識とは人類が短い歴史の中で知り得た、ささやかな情報に過ぎない。我々はまだ真実に無知である。知識は大事だが真実とは限らない。真実はもっと先にあるかもしれない。

そういう意味では、介護の現場で問題に直面した専門家に求められるのは、最新の知識ではなく応用力であり、それを支えるのは信念である。そしてそれは書物では学べない。特に文例を安易に使うことは応用力をそぐことに他ならない。

そして文例に頼る限り、文例を教えた講師のコピーにはなり得ても、その人物を超えることはできない。そのことをしっかり理解してほしい。

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Source: masaの介護福祉情報裏板