他産業で実績のあるサービスマナー講師を招いても効果が得られないわけ

これからの時代は顧客に対するサービスマナーが重要になると考えてくださる介護事業経営者が増えてきた。そして職場内で従業員に対するサービスマナー研修を行う事業者も増えている。

そのこと自体はとても良いことだ。それは絶対に必要なことである。

しかしその研修講師として、職場でのマナーを専門に教えている有名人を招いても、なかなか成果が挙がらないという声も聞こえてくる。マナー講座で学んだことを、介護の場で生かすことができる職員が少ないという話を聞くことも多い。それはせっかくの介護経営者の思いが無駄になっているという意味でもある。

せっかく費用をかけて職員を教育しているのだから、そのことが実務に活かされなければならない。実務に活かすことのできない研修などセレモニーに過ぎず、そこにかける費用は無駄であり、死に金以外の何ものでもなくなるのだ。

有名な講師の話を聴いても効果が挙がらないのは何故か・・・。しかしそれはもっともだと思う。介護事業におけるサービスマナーについていえば、介護サービスの実態を知らない講師を招いても無駄になるのだ。

いくらサービスマナーの専門家だからといっても、介護事業者に勤めている職員の実態を踏まえた実務指導をしないと、受講する職員にとって講師の話は、「そんなことまでしなければならないのか。」・「できればよいね。」程度の念仏にしか過ぎなくなってしまう。そしてサービスマナーの意味をまったく理解できなかったり、勘違いしてしまうのである。

介護実務に携わったことがない人で、職業上のサービスマナー専門に講義を行う人が教える内容とは、「挨拶の仕方」・「お客様に対するお辞儀の仕方」・「仕事をする際の会話における目線の合わせ方」・「電話対応の方法」etcである。

そこでは、「利用者はお客様ですよ。」なんてことは教えない。利用者を顧客であると認識し、顧客として接する必要があるなんて言うことは、極めて当たり前のことだから、「わかっているだろう」・「できているだろう」ということが前提になっているから、教える必要はないと思われているからだ。

しかし実際には利用者を顧客と理解せず、接客対応ができていない人が多いのが介護業界の実情だ。できていないことを無視して、それができるようになる前に電話対応や外来者対応を教えてしまえばどうなるか・・・。

そうした講義を受講した人は、相変わらず介護サービスの利用者を単なるユーザーとしか認識せず、利用者は顧客そのものであるという意識を持つに至らない。意識を変えられないから、教えられたサービスマナーを発揮する対象者は、利用者以外の外来者であると勘違いしてしまうのである。

そこでは利用者とは「タメ口」で会話し、外部の関係者や家族に対してのみ丁寧語で会話するという結果しか得られなかったりする。

こちらがお金を払う業者の営業マンに「丁寧語」で接しているのに、生活の糧となる給料をもらうための大切な顧客である利用者に対して「タメ口」で接するという異常さ、おかしさに気が付かないのである。

このように介護の実情を知らないマナー専門講師による講義を受けても、マナーをもって接する対象者とは、利用者以外の外来者に対応する方法だと勘違いして、その意識が刷り込まれてしまうために、利用者対応に全く活かされないという状況が生じやすいのである。

そもそも介護サービスの実態を知らない講師は、介護事業者に所属する職員の多くが、利用者に対して「タメ口」で会話することを何の問題だとも思っていないという実態を知らないから、そのことから改善するという指導はしない。顧客に対して「タメ口」で接することなどあり得ないというのは、本来小学生でもわかる常識だから、そんなことを教えなければならないとは考えられないのだ。

介護サービスの職員のスタンダードな意識レベルが、小学生以下であるということを知らないのである。そういう講師が何を教えても、「絵に描いた餅」である。

介護の常識が世間の非常識という状態が、そこかしこに存在することを知らない人の教育効果とは、極めて限定的なものであることを知るべきである。

しかしそれは介護業界を知らないサービスマネー講師が恥ずべき問題ではない。それらの講師が想像できないほどお寒い実態があるという意味で、介護業界全体が恥ずべき問題である。

このことを変えていかねばならない。幸いそのことに気が付いて、かえようとアクションを起こす仲間が増えている。

僕は介護サービスの実態を知悉し、なおかつその状態を変えるための具体策を提案できる講師として、サービスマナー研修を様々な場所で行うようになったが、その活動が本格化したのは今年に入ってからである。しかしその後、全国各地からサービスマナーをテーマにした講演依頼があり、先週も愛媛県松山市で「サービスマナー講演」を行ってきたばかりである。

12/22(土)には同じ愛媛県の久万高原町でもサービスマナーをテーマとした講演を行なう予定になっている。

また年が明けた1月17日(木)には、沖縄で初の「サービスマナー研修」を行う予定になっている。当日は18時30分~20時30分の予定で【うるまるシェ(沖縄県うるま市)】にて一般社団法人琉球介護コミュニティ協会 主催研修・介護スキルアップセミナー「介護施設に必要な接遇マナー」をたテーマに講演を行なう予定だ。

翌日18日の一般社団法人琉球介護コミュニティ協会 主催セミナーとあわせて近々インターネット等で案内を広報する予定になっているので、沖縄の皆様にはぜひそちらにもお越しいただきい。

何度かこのブログで書いているように、介護事業における「サービスマナーの確立」とは、職業倫理とか、礼儀とかの範囲を超え、顧客を確保して安定した事業経営を続けるための「経営戦略」としても必要な情勢になりつつある。

生き残りの事業性んりゃく見直しのためにも、ぜひ一度僕が行うサービスマナー研修を受講していただきたい。そしてどうか全国の皆様、この研修を地域で必須な教育として、皆様が活躍されているその場所で実施してください。その際に必要ならば声をかけてくだされば全国どこへでも飛んで参ります。

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Source: masaの介護福祉情報裏板