休みが多くなってますますゆとりがなくなる介護事業者

今日は金曜日である。暦通りに休みをとれる職業についている方々は、今日頑張れば1週間の勤務を終えて、土日の休日がやってくる。そのため少しは元気が出ている人がいるかもしれない。

介護事業者に勤務する方も、事務系などの職種の方は、ほとんど暦通りの勤務となっているのではないだろうか。そのため5日間の勤務の疲れを癒すことができる土日の休日を楽しみにしている人も多いだろう。

しかし暦に関係なく働かねばならない介護職員などの皆さんにとって、週末という言葉はあまり意味がないし、定期的に土日が休みとなる職種をうらやむ気持ちを持っている人もいるかもしれない。

そうであったとしても、休みを取ることができる日は不定でも、土日・祝祭日を休むことができる職種と同じ数の休日が取れる介護職員はまだ幸せである。

介護事業者によっては、職種ごとに勤務時間を変えている場合があり、事務系職員の年間勤務時間数と介護職員の勤務時間数を、異なった時間で規定している事業者があって、後者が前者に比べて長い勤務時間を強いられている場合がある。

このことは法令上許されており、介護保険制度上の常勤換算時間も、職種ごとに異なってもよいことになっている。しかしそれは同じ事業所内の労働者としては不公平な状態と言え、今後の介護事業における労務管理という視点で考えると、そうした状態は是正されるべきである。

そもそも事務系職員より、介護職員の労働時間が明らかに長いような職場は、介護職員が働こうとして選ばれる職場にはならないだろうし、定着率も低下せざるを得なくなる。人材を求めるなら、そのような勤務時間格差をなくしていく方向で職場改革が進められなけれなばならない。

そんな状況を考えたとき、来年の祝日と休日の特例や、労働改革による有休の付与ルールの改正は、介護事業者にとって非常に悩ましい問題である。

皇太子さまが新天皇に即位される来年5月1日と、即位礼正殿の儀が行われる10月22日を来年に限って祝日とする特別法案は今週火曜日(12月4日)の衆院本会議で可決され、本国会で成立の見通しとなった。これにより来年のGWは10連休となる。
2019年に限っての休・祝日追加
政府はこの10連休で「ゆとりのある生活を実現する狙いもある。」としているが、暦通り休めない介護事業者などは、この間の人手の確保のために、「ゆとり」がさらに削られ厳しい運営が強いられる。この間に働いてくれる人の確保と、その人たちに別の時期に休みを与えるために、さらに人手がかかるため、勤務シフトに無理難題が生ずる恐れが大である。

土日祝祭日を休業日としている通所介護などは、この暦の通りに休業すれば10日間全く収入が途絶ええるということになる。この暦通りに休業した場合に、10日間ずっとサービスを受けることができない通所介護に嫌気をさして、利用者が逃げていかないかという不安も生ずるだろう。そんな通所介護事業所に計画担当ケアマネジャーがそっぽを向く恐れがある。

そのため来年度のみ暦にとらわれず営業しようとしても、就業規則や運営規定を変えなければならない事業者もあるだろう。それは決して簡単なことではない。

居宅介護支援事業所はこの時期、翌月の利用表・提供表を利用者や事業者に届けたり、給付管理や請求に係る業務を行う時期なので、とてもではないが暦通りに休んでいられないのではないだろうか。

そういう意味では、この法案を迷惑に思う介護事業者の方も多いのではないだろうか。というより介護事業関係者にとって、こんな連休は迷惑極まりないとしか言いようがない。

それに加えて「働き方改革」の年次有給休暇の改正によって、来年度からすべての事業者で、年10日以上の年休が与えられている働き手に、有給休暇を5日以上消化させなければならない義務が課せられている。(参照:年次有給休暇の改正対応はできていますか

比較的大きな規模の法人ならば、すでにこの規定はクリアできているのだろうが、単体のグループホームや、小規模通所介護のみを経営している事業者では、その義務化だけでも大きな負担となっているのに、10連休は「ゆとり」どころか、事業危機でさえある。

シフト勤務の職員にとっても、暦通りに休めない分どこかで休みが取れて年間休日が増えるといっても、そのために勤務している日は、休みが増えた人の分の仕事を替わって担わねばならないというのが実情だろう。

とすれば休日数が増えて楽になっているのかどうかは微妙なところである。むしろ様々なしわ寄せにより肉体的な負担は増え、疲労感は増してしまうのかもしれない。そうした意味でも、恒常的に人手不足に陥っている介護事業者にとって、この休日増加は悩ましい問題だ。

事業管理者は来るべきGWのシフトに頭を悩ませながら、この年末年始を過ごさねばならないかもしれない。お気の毒なことである。

ということで、この連休法案の成立を待ち望んでいるのは、医療や介護と関連のない公務員だけではないのだろうかと思ってしまうのである。

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Source: masaの介護福祉情報裏板