人生会議は愛を語る場

介護業界には訳の分からない略語・略称が多すぎる。略している本人だけが理解していて、聴いている側に意味が伝わらないものもある。

略しすぎて認知症を「ニンチ」なんて言っている馬鹿もいる。「認知症がない」と「認知がない」という言葉は、意味が反対になるということに気づいたら、こうした馬鹿な言葉遣いはできないのが本来だ。
(参照:認知症をニンチと略すな!!

略語とは異なるが、日本語で表現できるものを、わざわざ英語で表現していることもある。その頭文字をとって略称としていることも多いが、頭文字の略称に馴染んだ人は、元の意味が解らなくなっていたりする。

例えば認知症の人の症状で、かつては「周辺症状」と表現していた症状を、BPSDと表現する人が多くなった。しかしそのもともとの言葉がなんであるのかということを正確に答えられる人は少なく、その意味は何かと尋ねても、「BPSDはBPSDだよ。」と訳の分からない答えをする人もいる。BPSDとは「Behavioral and Psychological Symptoms of Dementia」の略称であり、ビヘイビオラルアンドサイコロジカル、シンプトムス オブ ディメンティアと読む。

それは「行動心理症状」と日本語訳できるもので、意味が解らずBPSDなどと口にするのではなく、きちんと「行動心理症状」と呼べばよいのである。

ところで最近よく使われるようになった言葉として、ACPという言葉がある。それはAdvance Care Planning(アドバンス・ケア・プランニング)の略称であり、意思決定能力が低下する場合に備えて、あらかじめ、終末期を含めた今後の医療や介護について、本人と家族が医療者や介護提供者などと一緒に話し合って考えておき、本人に代わって意思決定をする人も決めておくプロセスを意味している。

このACPについて厚生労働省は11月30日、愛称を「人生会議」に決定したと発表した。この愛称は、ACPの認知度向上を図るために厚労省が広く一般から募集し、応募総数1,073件の中からACP愛称選定委員会が決定したそうである。

なかなかわかりやすくて良いのではないかと思った。少なくともJR東日本が新駅名を公募の上、130番目の人気しかなかった「高輪ゲットウエイ」を選んだセンスよりは格段優れていると思う。

今後僕はACPという言葉に変えて「人生会議」という愛称を積極的に使っていこうと思う。そして元気なうちから口からものを食べられなくなったらどうしたいのかをはじめ、リビングウイルについて、家族間で意思を確認する過程で、医療・介護の連携チームと人生会議を行って、情報提供してもらいながら決めごとを確認していくように勧めたいと思う。

人生会議とは、愛する誰かの人生の最終ステージまで見つめ、愛を語る場であることを伝えていきたい。

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Source: masaの介護福祉情報裏板