ナニサマの本音?
次男がふとこんなことを言い出した。
「お正月だから、おばあちゃんに会いに行かないとね」
ん?ん??なんて???
「おばあちゃんに会いに行ってあげないといけないでしょ」
と。
次男がこんな優しいことを言うようになったなんて、驚くやら嬉しいやら。まあ、鬼嫁には全くその選択肢なかったけどね。(笑)
施設ならいざ知らず、ショートだもんね。
で、次男一家と我が夫婦でショート先に。
ナニサマ、一瞬嬉しそうな顔はしたけど、特に嬉しいといった表情には乏しい人だ。
今日は、みんながいる談話室でTVを見ていた。
私たちが来たので、自分の居室に戻った。
頭はしっかりしていて、嫁さんの大きくなったお腹を見て
「ああ、大きくなったねえ。もうすぐだねえ」と。
姫がはしゃぐ姿にも嬉しそうに見ていた。
いきなり
「トイレに行きたいんだわね」
と言って、大きい方をしっかりしました。
便器から立ち上がるのはやはり難しいのか、「手を貸して」と言う。
パンツもズボンも引き上げてやらないと「やって」と言う。
完全に依存度が高くなっている。
これではトイレにつきっきりである。
部屋にトイレがついているのでまだいいが、外にあればずっとついていなければならない。
夫が尋ねる。
「みんなやってもらえるから楽だろう?」と。
ところが、ナニサマは返事をしない。
すると、夫、
「家に帰りたいか?」
と聞いた。
ナニサマ、まただんまりである。
「家に帰りたいのか?」
と、再び夫が尋ねると
「帰っても、自分では何も出来ないからね・・・」
と、完全介護はもう在宅では無理であるということはわかっているようだ。
この人のすごいところは、「帰りたい」とは言わないことだ。
「帰りたい」と言っても、今の現実では無理であることがわかっているから、賢いナニサマは、言葉を選ぶのだ。
「この車椅子、うるさいんだわね!」
と、また難癖つけ始めた。
こういうところは少しも変わっていない。
耳が遠いくせに、なんで車椅子の音が気になるのかわからない。
しかも実際に私たちには聞こえないし。
「もう車椅子は返すのかね?」
と、よくわかっている。
もうすぐ介護ベッドも部屋用の車椅子も何もかも撤去しにくるであろう。
「もう帰れんのだわね?」
「そうだね」と夫。
ナニサマ、寂しそうであった。
仕方ないね、これだけ自分でやらなくなってるし、やれなくなってるナニサマを引き取ることなんて、もう出来ません。
エレベーターまで送ってくれたナニサマ、それでも私の方を見てかすかにほほ笑んだ。
納得してくれてありがとう。
Source: 鬼嫁介護日記