フツー?フツーだった
下着とまた服を2,3枚持って、ナニサマのもとに届けました。
インフルエンザの面会禁止も解除され、部屋まで入れてもらいました。
いわゆるフロアというところで、利用者さんが10人余り歌謡曲に併せて座ったまま体操をしておりました。
あれ?うちのバアチャンは?
と探すと、一番後ろで車椅子に座って
コックリコックリ。
職員さんに起こされて、私が来ていることに気がつきました。
ボーッとしていると、職員さんに
「自走していってくださいよ」
と促されていました。
私を見て、驚くこともなく、フツーでした。
ホント、フツーに家にいた時と同じ感じで私のところに来て
「あ、持ってきてくれたの?ありがとう」
と言いました。
中のモノを出してタンスの中に片付けるのをじっと見ながら、
「それでいいわね」
などと、家にいる時と全く同じでした。
タンスの小物入れの引き出しに、見たことのない靴下が入っていました。
「あら、これどうしたの?」
「ああ、それね、○○(義弟)が持ってきてくれたんだわね」
「こんな分厚い靴下、履く?」
「履かないから、持って帰って」
と即答。
フツーに会話できてるし。
いつもの「え?え?」がないのです。聞こえているってことです。
「他に帽子とエリマキも持ってきたんだわね」
洋服ダンスを開けると、帽子とマフラーが入ってました。
「え?これ、使う?」
「それも要らないから、持って帰って」
と即答。
「○○は来たかね?」
先週の日曜日に、法事の帰りに寄ると言っていたことだと思い出した。
「うちには来ませんよ。おばあちゃんに会いに行くとは言ってたけど?」
「来なかったわね」
「え?来なかったの?」
「法事の帰りに寄るって言ってたわね」
ほー、よく覚えているじゃん。
「忙しくて寄れなかったんじゃないの?」
「そうかね・・・」
フツーに会話が成り立ってるし。
ゴムが伸びたズボン下と対のシャツも持ち帰ることに。
袋に詰め終わって、ナニサマの顔を見ると、髪の毛が伸びているのに気が付きました。
そういえば、ここ3カ月ほど散髪してなかったなと思ったので、
「おばあちゃん、今度来る時にハサミ持ってくるから、そのとき髪の毛切ってあげるね」
と言ってあげました。
年寄りのぼさぼさ頭は、見苦しいですからね。
すると、ナニサマ、
「今日、切ってくれんかね」
「ハサミないから無理よ」
「ハサミ、貸してもらって」
と、相変わらず強引なナニサマは、私に職員さんのところに行って、ハサミ貸してもらえと。
「お嫁さんが切ってくださるの?」
と職員さん。貸してくださいました。
フツーの紙切りバサミでしたけど。(笑)
バアチャン、「切れないハサミだねえ」と文句言ってましたが。(笑)
なんとか、散髪が済みました。
「ありがと」
とそこまでは良かったけど、次の言葉に唖然。
「私にまだ切る髪の毛、あったかね?」
さんざん切らせておいて、なんだよ、それ!
ともあれ、すべてフツーに対応するナニサマなのでした。
一度も「え?なに?」を言わなかったのです。
施設に入るとわかって、素直になったのかしら。
え?それじゃあ、今までは、ただの反抗期?
最後にナニサマ、
「makoさん、これからもよろしくお願いします」
ですって。
やっぱり離れて暮らした方が、お互いのためには良かったのかも。
Source: 鬼嫁介護日記