安静とは、寂しい状態ではない
一昨日東京の社会福祉法人・浴風園さんで「看取り介護」について講演を行なった。
講演は、同会職員さんだけではなく、近隣の施設などの関係者の方も受講されていた。特養の職員研修ということで、介護施設における看取り介護の方法論を中心にお話ししたが、在宅介護関係者の方からも、参考になったと声をかけていただいた
その日の夜は法人職員さんとのオフ会を楽しんだ。浴風会の皆さん、ありがとうございます。
来月も浴風会さんにお邪魔して、今回受講できなかった方に同じ話をする予定になっているので、近隣の施設・事業所の皆様も、是非3月14日(木)16:15~認知介護研究・研修東京センター2階大会議室までお越しいただきたい。
そんなオフ会を終えた後、登別に戻って認定審査会に参加した。PM21の影響なのか、北海道に到着する時間が30分以上遅れたが、午後6時からの審査会には遅れずに参加できた。
そして今日は新千歳空港~女満別空港に飛び、網走にお邪魔する予定である。この記事も新千歳空港のさくらラウンジで更新中だ。ところで道外の人から『登別って北海道のどこなんですか?』と聞かれることがある。そういう人は登別と網走の距離感は理解できないだろう。そこで参考までに下の地図を見ていただきたい。
登別は左下の海岸沿い・太平洋に面した場所にある。一方、これから向かう網走市は右端に近い、オホーツク海沿いに位置している。僕の家の最寄り駅である東室蘭駅から、JRを利用して網走に行こうとしたら、札幌で乗り換えて10時間以上かかるのである。しかし新千歳空港から女満別港空港までのフライト時間は30分弱だから、前後の移動を入れても飛行機利用の場合は3時間程度で到着できる。ただしオホーツク地方は雪が多い場所だから、冬は着陸できない日も多い。幸い今日はそのような心配はない。ということで道内の旅と言っても、移動手段に飛行機を選択するのは必然である。
網走の講演は明日の午後からだ。そこでも看取り介護講演を行なうが、明日の受講者は主に在宅介護に携わる方であり、ホームヘルパーさんや介護支援専門員の皆さん、そして地域包括支援センターの皆さんがである。看取り介護の方法論は、施設と居宅で変わるものではないが、講演内容そのものは在宅における視点を中心に語ろうと思っている。
看取り介護には、いくつかの間違ったイメージが付きまといがちである。例えば看取り介護というと安静が必要で、看取り介護を行う部屋から一歩も外に出ないというケースもある。
しかしそれは間違っている。病状によって安静は必要であるが、それは部屋に閉じこもることではない。安静が求められても、バイタルが安定しているときは、人の輪の中で関係性を紡ぐことがあっても良いのだ。
安静が必要だからと言って湯船に浸かる生活習慣を奪う必要もなく、湯船につかる入浴支援をすることがあっても良い。部屋に閉じ込め、カーテンを閉ざして、介護する人以外の誰の顔も見ることなく寂しく旅立つことがあってはならないのだ。
僕が総合施設長を務めていた特養では、末期がんで亡くなられた70歳代の女性が、亡くなる前日に元気だったころにいつも参加していた「療育音楽」という音楽療法の場に参加することがあった。その場面を施設に泊まり込んで付き添っていた家族が見つめ、残されたわずかな時間の中で周囲の人と関係性を紡ぐ姿に感動し泣いている場面がみられた。
そうした場面は、葬儀の際に親族や知人に向かって繰り返し語れる、新たな思い出となっていく。それもすべて遺族になった方の心に残る思い出となるのである。それが命のバトンリレーとなるのである。
そういうエピソードがまったく存在せず、「看取り介護」を受けているという人の姿が見えない特養やグループホームはおかしい。密室の中で何が行われているかわからない場所の看取りは怖い。
そこで行われているのは看取り介護ではなく、放置介護であるようにも思え、その場所で死に至る人の状態とは、本当の意味での「孤独死」ではないかとさえ思う。
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Source: masaの介護福祉情報裏板