特定処遇改善加算の基本的考え方とQ&A等について

4月12日付で発出された介護保険最新情報Vol719は、「介護職員等特定処遇改善加算に関する基本的考え方並びに事務処理手順及び様式例の提示について」となっており、この中には、2019年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.1)も掲載されている。

介護職員等特定処遇改善加算の基本的考え方を読んでみると、今まで出された情報以上の目新しい情報は特にないと言える。切れ切れに出されていた情報をまとめたものという理解で良いと思うが、確認のために通読しておく必要がある。(※なお僕が今までこのブログ記事で書いてきたものは、今日の更新記事を含めて「カテゴリー特定処遇改善加算」から見ることができるので参照してほしい。)

本日はその通知を読んで、改めて確認すべきことなどをまとめてみようと思う。

まず賃金改善については、基本給・手当・賞与のうち対象とする賃金項目を特定して行うとされ、特定された項目を含め、賃金水準を低下させてはならないとしたうえで、基本給による賃金改善が望ましいとしている。

特定処遇改善加算の取得前と取得後の賃金比較について、比較時点で勤務実態のない職員は、当該職員と同職であって、勤続年数等が同等の職員の賃金水準と比較するとしている。

賃金改善の対象グループは、a 経験・技能のある介護職員、b 他の介護職員、c その他の職種としたうえで、「a 経験・技能のある介護職員」については、「介護福祉士の資格を有するとともに、所属する法人等における勤続年数10年以上の介護福祉士を基本としつつ、他の法人における経験や、当該職員の業務や技能等を踏まえ、各事業所の裁量で設定すること。」としている。技能等についてはQ&Aでも解説されている。(後述

経験・技能のある介護職員のある職員のうち一人以上は、賃金改善に要する費用の見込み額が月額平均8万円以上又は改善後の賃金が年額440万以上であることとされているが、(現に賃金が年額440万円以上の者がいる場合は、この限りではない)とされているので、年収440万円以上の経験・技能のある介護職員が今現在いる場合は、それだけでこの規定を満たすことになる。(※この部分は、今までの僕の解釈が間違っていたのことが分かったので、訂正してお詫びしたい。

またこの規定の例外規定として「小規模事業所で加算全体が少額である場合」など3点が挙げられているので確認が必要だ。(Q&Aあり:後述

加算を経験・技能のある介護職員以外にも支給する場合の配分は、a2:b1:c0.5が以上の比率の開きがなければならないが、「その他の職種の賃金改善額が、他の介護職員の平均賃金額を上回らない場合」は、b1:c0.5とする必要はないとしている。

また「その他の職種」については改善後の賃金見込み額が年額440万円を超えてはならないし、現に超えている職員については、賃金改善の対象としてはならないとされているのにも注意が必要だ。

算定要件である「職場環境要件」については、別票1表3の「資質の向上」・「労働環境・処遇の改善」・「その他」の区分ごとに1以上の改善が求められているので、表を確認しておく必要がある。ただしこの要件あまり高いハードルではないので、確認さえしておけばクリアは簡単だろう。

また(4)では、加算の支給単位をサービス種別ごとではなく、法人単位で認めているほか、就業規則が同じであれば地域ごと介護サービスごとの支給も認めている。このことについてはQ&Aの問15で関連した疑義解釈がされているので確認しておいてほしいが、法人単位で月額8万円の処遇改善となる者等の設定・確保を行う場合、法人で一人ではなく、一括して申請する事業所の数に応じた設定が必要であるとしている。この場合、設定することが困難な事業所が含まれる場合、合理的理由を説明することにより、設定の人数から除くことが可能としている。

ここでQ&Aを確認してみたい。 個人的には問1の内容に驚かされた。

問1、介護職員等特定処遇改善加算は、勤続10年以上の介護福祉士がいなければ取得できないのか
回答、(前半部略)~勤続10年以上の介護福祉士がいない場合であっても取得できる。

これに関連し、問5では、介護職員等特定処遇改善加算を取得しても、「経験・技能のある介護職員」に該当するグループを設定しない場合は、その理由を届け出て、月額8万以上もしくは年額440万以上の要件をクリアする職員がいなくても良いとされている。

問2では、「職場環境要件」について、現にこの要件をクリアしている場合は、それに加えて新たな取り組みを行う必要はなく、現行の状態で要件をクリアできるとしている。

問3では、情報の公表については、情報公表制度の活用に限るものではなく、各事業者のホームページでも構わないとしている。

問4では、経験10年に満たなくても「経験・技能のある介護職員」とする際の業務や技能等の勘案については、各事業所の裁量により柔軟に設定できるとされているので、「何でもあり」的な基準に思える。

問6は、この加算の要件である8万円以上の改善については、現行の処遇改善加算による賃金改善分は含まれず、あくまで新加算による改善分であるとされている。

問7は、賃金の範囲について、月額8万円の処遇改善については、法定福利費などの増加分も含めて判断し、処遇改善後の賃金440万円については、社会保険料等の事業主負担その他の福利厚生費等は含まずに判断するとしている。

問8は、この加算が10月からの取得であるため、今年度は最大半年の改善月しかないために、440万円規準については、12月加算算定していれば440万円になることが見込まれる場合も可としている。

問10は、非常勤職員については、常勤換算方法で給与計算することとしている。

問11は、8万円改善できない例外規定のうち、研修・実務経験の蓄積に「一定期間」かかる場合の期間については、特に定めはないし、それを一律に定めることや計画を定めて一定の期間で改善を求めることは適切でないと、行政指導に釘を刺している。

問12は、各グループの対象人数に関して、aとbについては、常勤換算方法による人数の算出を求めているが、cのその他の職種については、実人数による算出でもかまわないとしている。

問13は12に関連して、平均改善額の計算式の母集団には、賃金改善を行わない職員も含めるとしている。

こうして通読すると、今回の通知でほぼすべての疑問が解消されているように思えるが、もし疑問が残っているという方は、表の掲示板に質問スレッドを立てていただきたい。

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Source: masaの介護福祉情報裏板