変わらないと言えば変わらないけど・・・
今日は午前中に、ナニサマのところへ例の靴を届けに行きました。
ここのショートは、アットホーム的な造りになっていて、テーブルが厨房を囲むような形でぐるっと取り囲んでいるのです。
中に入ると、一番端っこにナニサマが座っていました。
他の皆さんは10人ほどおりましたが、皆さん元気で、おしゃべりをしておりました。
ナニサマは一人、船を漕いでおりました。
私たちの顔を見ると、感情を出さないナニサマだが、嬉しそうな顔をしました。
「靴、持ってきたよ」と夫。
「持ってきてくれたのかね」
と、早速足を差し出すナニサマ。
重そうに足を持ち上げて靴を履かせる夫。
実は新品の靴がもう1足ある。
同じように作ってあるはずなのに、新しいこともあって
「きつい!」
とおっしゃる。
我慢できない人だから、ユルユルになるまでは履けないだろう。
ということは永遠に履けないってことだ。
新しいのを買えと言っては、いちゃもんつけてなかなか履かず、それでもまた思い出したように新しいのが欲しいと言うナニサマ。
相変わらずのワガママぶりだ。
またここのところ、寒い日が続いているが、そろそろ薄手のインナーも要るだろうと、それも持って行ってあげた。
「ここに入れておくね」
と言うと
「まだ寒くて着れないわね」
むっ!
そんなこと言っていて、すぐに暑くなったらまた電話してくるくせに。
「このタンス、固いんだわね」
と、引き出しが開けにくいから、こっちの開きのドアのところに入れてくれと指図するから
「おばあちゃん、あなたが開けて出すわけじゃないでしょ?}
と言ったら
「そうなんだわね、やらせてくれないんだわね」
むっ!
なにが、やらせてくれない、だわ。
やれてもやらないくせによく言うわ!
このバアチャンの人を悪く言うのはホント、お手のもの。
「makoさん、くしが無くなったんだわね。持ってきてくれんかね」
「え?くしって、ここの籠の中に入っているこの櫛のこと?」
と、私がベッドのわきに付いている籠の底に入っている櫛を取り出すと
「あ、あったかね」
そして
「捨てられたかと思ったわ」
って。
なんで、施設の職員さんが、勝手に捨てたりする?
こういうところは、ボケてるかしらと思ってしまいます。
こんな風に普通に会話できるかと思えば、いきなり、
「え?なに?聞こえないんだわね」
と言い出す。
特に夫が話す言葉は聞き取れないみたいだ。
私が通訳になった。(笑)
私も大きな声で話すのは嫌なのだ。
なんか怒ってしゃべっているみたいになるから。
今日は部屋に入るなり、
「私はいつまでここにいるのかねえ?」
と聞いてきた。
ん?どういうこと?
どうやらケアマネさんが来たらしい。
「ずっとここにいますよ」
と私。
「え?ずっとここにいるのかね?」
「そうだよ。場所は2階から3階に変わるけどね」
と、夫が説明しだしたら、
「え?なに?」
が始まった。
何か不満でも言い出すのかと思ったけど、それはそれで納得して終わった。
夫はあまりに聞こえないから
「補聴器、付けるかね?」
と聞いたら
「いらないわね」の即答。
それでもやっぱり不便だと思ったらしく
「つけてみるかねえ」
と言い出した。
その足で、夫はさっそくメガネ屋さんに行って、補聴器のことを尋ねてみた。
結局病院に行って検査がいるとのことで、補聴器は断念。
集音器なるものがあるというので、それを購入することに。
「あの人のことだから、反故にされる可能性もあるなあ・・・」
と呟く夫であった。
変わらないと言えば変わらない。
やっぱりもう一緒には住めない人だ。
Source: 鬼嫁介護日記