入浴介助の結末②
余計な動作をしたがために、顔面から床に落ち、運悪く倒れた杖の上に顔が落ちてしまい、頬骨を骨折してしまったのです。
そのうえ、膝も打ったので、大騒ぎ。
3カ月の入院となりました。
ナニサマは病院が大好きなので、なかなか退院しようとはしません。
骨折が治っても、まだどこやらが痛い、歩けないと訴えて、入院を長引かせます。
まあ、こちらはどうでもいいですけどね。
とうとう追い出される段になって、理学療法士さんが歩く姿を見せてくれ、ついでにお風呂の入れ方までレクチャーしてくれると言うのです。
「え?今更??」
と思いました。
どっちにしても、丁重にお断りしました。
理学療法士さんもそこにおられたケアマネさんも驚いた様子でした。
「ご本人はお嫁さんに入れてもらいたがっておりますよ」
と言われてもねえ~、
嫌なものはいや!!!
するとナニサマ、元気よく言うではないか。
「makoさん、お願いしますっ!」
とあの語気を強めたプレッシャーを感じさせる物言いでした。
一瞬、また「いい人」の私が顔を出しましたが、この時ばかりは、心を鬼にして、
「もう、無理です。出来ません」
と突っ撥ねたのです。
夫も「え?」ってな顔でした。
自分がやれないことを嫁にやらせるかって!
さんちゃんがその時、旦那は何していたのかって聞かれましたが、
何もしてません。
マッサージチェアにでも座ってマッサージしてたこともあります。
とにかく一切ノータッチでした。
老人とはいえ、母親の裸は見たくなかったようですわ。(笑)
「お風呂は5日入れます。それで充分じゃないですか?」
と私は冷静に答えました。
こうして土日は完全にお風呂が無くなりました。
新しいキャリーチェアを買ったところですが、一度も使わずじまいでした。
便を漏らした時と、姪っ子に夏シャワーしてもらったときに使っただけです。
私はこの入浴介助のことをずっと心にフタしてきましたが、これほど最後の方は悩まされたことはありません。
苦痛以外のなにものでもなかったということです。
そんなナニサマ、暑い夏には、恨めしそうに私の顔を見て
「お風呂には入れてもらえんのだわね?」
と聞いてくる。
相変わらず、訳の分からない日本語で。
最後の方は、夫が
「もう無理なんだよ」と言って諭しておりましたけどね。
温泉にも連れて行きましたね。
それこそ抱きかかえて一緒に入ってやりましたね。
ホント、もう充分やりました。
私はこれで恨まれても、まったく関知しませんから。
Source: 鬼嫁介護日記