特定処遇改善加算のおさらい。

特定処遇改善加算は10月からの算定・支給となるが、消費税の10%への引き上げが見送られた場合は、この加算も見送りとなるわけである。

政府は、「リーマンショック級の出来事がない限り、予定通り消費税を引き上げる」としているが、何をもって「リーマンショック級」とするかは、どこにも基準がないわけで、このことは首相の腹積もり一つで実施も見送りも決定されるという意味に等しく、究極の政治判断ということになるのだろう。安倍総理は何としてでも引き上げを実施したいのだろうと推察する。

どちらにしても介護関係者は、この加算が10月から算定できるものという前提で事を運び、支給方法を決定しなければならない。

何度も書いているが、この加算の支給方法については、事業者の裁量権が大きく認められている。支給を法人単位で行うか、事業種別単位で行うか、経験・技能のある介護職員の対象者をどこまで見るか、支給対象職種をどの範囲まで広げるのかなど、重要な決定はすべて事業者裁量に委ねられているのである。

そのため事業者間で格差が生ずることは当然で、その格差によって人材の流出も流入もあり得ることになるので、少しでも有能な人材を獲得するためにはどういう方法が最善と言えるのかを、地域の事情を視野に入れながら考えねばならない。今後の介護事業経営を見据えた場合に、それは重要な経営戦略上の決断を迫られていることと同じ意味であるという理解が必要である。

そこで数点、この支給方法のおさらいをしておこう。

配分対象については、次の3グループに分けたうえで、どのグループまで支給するかを事業者判断で決めなければならない。

a.経験・技能のある介護職員(所属する法人等における勤務年数10年の介護福祉士を基本としつつ、他の法人における経験や、当該職員の経験や技能を踏まえ、各事業所の裁量で決定)
b.その他の介護職員(a以外の介護職員すべて)
c.介護職員以外の職員

このように支給グループをabcに分けたうえで、支給原則は、「aグループの賃金改善見込み額平均が、bグループの賃金改善見込み額の2倍以上であること」、「bグループの賃金改善見込み額平均が、cグループの賃金改善見込み額の2倍以上であること、ただしcグループの平均賃金額が、bグループの平均賃金額を上回らない場合は、この限りではない」とされている。

このルールを踏まえたうえで、aのみに支給、abのみに支給、abcすべてに支給かのいずれかを事業所の裁量で決定しなければならない。

この時、aグループの対象職員がいるにもかかわらず、aグループに支給せず、bcグループに支給することはできない。なぜならこの場合は、aグループへの支給額がゼロ円ということになるため、「支給額原則a:b:cは2:1:0.5以上の差ができる」というルールに照らすと、ゼロ円支給の1/2及び1/4は、ゼロ円にしかならないからである。

一方でaグループの対象職員が存在しない場合は、支給額がゼロ円ではないと解釈できるため、bcグループのみに支給することは可能である。そのことに関連してはQ&Aの問1と問5に解釈が書かれている。なおこの場合は、必ず一人以上の介護職員が月額8万円以上の賃金改善となるか、年収440万円以上とならなければならないというルールは適用除外とすることができる。(Q&A問5)

同じ理屈で、bグループの職員がいるにもかかわらず(いない事業所があるということは想定できない)、支給をaグループとcグループにすることはできないと解釈できる。

ところで支給ルールには、「その他の職員の賃金改善後の賃金の見込み額が年額440万円を上回らないこと(賃金改善前の賃金がすでに年額440万円を上回る場合には、当該職員は特定加算による賃金改善の対象とはならない)」という要件があるが、「賃金改善前の賃金がすでに年額440万円を上回る場合には、当該職員は特定加算による賃金改善の対象とはならない」というのはあくまでcグループに該当する介護職員以外の職員に限ったルールで、abに属する介護職員については、現に年収が440万円以上あったとしても、特定処遇改善加算による賃金改善の対象としてもかまわないので、この点は間違いのないようにしていただきたい。

このことに関連して、職場内に「不公平感」が生ずるのではないかと心配する声があるが、そのことについては明日論じたいと思う。

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Source: masaの介護福祉情報裏板