ナニサマ何を思う
定期的に、今でもナニサマの妹である義叔母から便りが届く。
もちろん、義叔母はナニサマが施設に入ること、そして今ロングステイをしていることも百も承知である。
それでもせっせとたった一人となった身内であるナニサマに、変わることなく便りを書いてくれる義叔母。
内容は他愛ないもの。
義叔母の近況報告を兼ねて、習っている俳句が必ず1句入っている。
俳句の同好会雑誌にもいつも載っている。
書道をやったり、俳句をやったり、とこの義叔母もなかなか行動的な人である。
そんな葉書を、面会に行くたびに届けてやるのだが、一読すると
「持って帰って」
と、すぐに私たちに突き返すナニサマである。
確かにもう200はゆうに超えた枚数なので、私たちのLINEみたいな感じかもしれないが、電話で返事だけはさせてやっている。
耳が遠いので、一方的に礼を言って切るといった感じである。
ナニサマのきょうだいも一人減り二人減りと、今では一番上のナニサマと一番下の義叔母が残っているだけ。
ナニサマは一日、施設で何を思い、何をして過ごしているのだろうか。
自分でやることは、ご飯を食べてTVを観ることぐらい。
妹からの便りにも、返事を書く気力もない。
家でやっていた塗り絵もやらない。
せいぜい新聞を読むことだけは続いているようだ。
なのに、認知症になることもなく、ただ黙々と生きて生活している。
ある意味、すごい生命力だと感心する。
昨日のお稽古では、師匠のご主人がなんとか入院することが決まったと言ってホッとされていた。
それでもすっかり弱ってしまったご主人を見て、
「息子が寂しくて、おとっつぁんを呼んでるんじゃないかって、毎日まだ連れて行かないでくれって拝んでるんだわね」
とおっしゃる師匠、顔がこけておりました。
気丈にお稽古をつけてくださる師匠が、痛ましく思えたものです。
気が付けば、私の周りも寂しい出来事が増えてきたような・・・そういう年齢になってきたんだなって・・・。
Source: 鬼嫁介護日記