職場単位でのサービスマナー研修の効果
介護事業におけるサービスマナーについて講演を行なう機会が増えている。
その中でも特に法人・事業所単位での職員研修に講師としてご招待を受け、そこでサービスマナーをメインテーマにしてお話しさせていただく機会が多くなった。
こうした研修方法は、職場全体のマナー向上には絶大な効果がある。職員の大多数が僕の話を直接聴いて、現状の変革の必要性に気が付いたときの熱量の高まりは、数名の職員だけがマナー研修を受けて、改革の必要性を感じて、それを職場に伝達する場合の熱量とは、大きな差があるからだ。
特に僕の場合は、「しなければならない」理想論ではなく、僕が今まで行ってきた実績と事実に基づく内容で、そのことは現在も僕が管理してきた職場や、僕が改革のお手伝いをしてきた職場で、「行われていること」であり、そうであるがゆえに、やる気にさえなれば必ずできる方法だから、伝える力が他の人とは違うのである。
こう書くと、「増上慢」と思われてしまうかもしれないし、「天狗になっている」と感じる人もいるかもしれないが、伝える・伝わるという方法や能力の実態として考えてほしいのである。確実に必要とされることを伝え、問題意識を明らかにするために、何をどうしたらよいかということを考えてほしいから、あえて生意気に思われることを書いているわけだ。
ところで僕が研修の企画・運営を行う場合は、どんなに研修時間が長くても、講義中心で、普通に座学5時間とかを企画することが多い。グループワークを行なったらよいのではという意見もあるが、所属事業所の違う職員が短時間GWで話し合っても、職場の不満を言い合って終わりという場合も多く、それでは意味がないので、そうであるなら必要な知識を1分でも長い座学の中で吸収して、講演後にその内容を十分受講者自身の中で咀嚼してもらえば、グループで特に話し合う必要もないだろうと考えるからである。
しかし法人単位の研修では、今受講したことを自分たちの職場で、今からどう生かそうかという具体的な話を前に進ませるために、GWは有効のように思え、その方法も取り入れている。それはGWというより、職場内の会議に近い内容になって、講演で指摘された問題点が内在していないかを確認し、それがいかに問題であったかを明らかにして、今その時点からその問題解消に取り組むという相互理解を促す効果がある。
そういう意味では研修中のGWの時点からすでに改革の実務が始まっていると言ってよいのではないだろうか。講演終了後すぐに、新たな職場のルール作りに向けた約束ができ、約束事が確認できるという効果もあるだろう。だからこそそれは有効だと思えるのである。
先日もとある社会福祉法人さんの職場内研修に呼ばれ、サービスマナーの確立の必要性を綱得てきたが、そこでも会場から「いつものような講演だなと思っていたら、いつもと違って深いところに踏み込んで心に染み入る内容でした。普段の自分を反省して、新たな気持ちで実践します。」という意見が出され、その後のGWも各グループとも大いに盛り上がり、改善意欲が伝わる研修となった。
その法人さんから、次のような感想が送られてきているので、是非参考にしていただきたい。(※受講者アンケート結果:PDFです。)
ただし一度沸騰した熱も、時がたてば一気に冷めるのが当然と言えば当然である。その時、改革の熱気も同時に冷めて、取り組みが停滞してしまえばその研修は意味のないものになりかねない。
そうしないために重要になるのは、管理職や現場リーダーの覚悟とリーダーシップである。
熱気を上げて意欲を高めるのが僕の仕事であるが、そのあとは事業者自身の仕事になり、意欲と熱気が冷めてしないように、各事業所の管理者さんとリーダーさんが、僕から渡されたバトンをつなぐように頑張る必要がある。取り組みが滞らないように常に現場を広く見渡して、声をかけ、改革の足を止めないようにしていただきたい。
僕は薪に火をつける役割を全うするために準備万端整えて講演当日に臨むが、火をつけた薪には常に火種を継ぎ足さねばならない。それはその職場内のリーダーにしかできない役割だろうと思う。
そのためには、マナー研修を一度開いたら終わりではなく、エンドレスで定期的に職場内での取り組みチェックを含めて、研修を継続してもらいたい。その際に、ポイントとなる時期に、再度僕を呼んでくだされば、良いお手伝いができると思う。
数カ月前に職場内研修としてサービスマネー研修を行った社会福祉法人からは、数日前にメールが来て、「菊地さんの講演会を聴いて、衝撃を受けたスタッフは多く、職員の雰囲気や言葉遣いが良くなっていると感じています。」として、「また○○までお越しいただけないでしょうか。詳しくは都合の良い時にお電話させていただければと思います。よろしくお願いします」と連絡をいただいた。
このような連絡をいただくことができるのは何よりもうれしい。また頑張ってできる限りのお手伝いをしたいと思う。
マナー改善の必要性を感じ、実際にその取り組みを続けてくれる事業者が増えてくれることはとてもうれしいことである。そして僕が関わりを持ったことをきっかけにして、職場内の改革が進み、変化を実感している職場が全国の様々な場所にある。実績が出ているのだ。そのことだけは事実として認識してほしい。
それは介護業界全体からすれば、小さな一歩かもしれないが、その小さな一歩が確実に広がる先には、いつか日本の介護が少しだけ良い方向に変わっているかもしれないことを信じて、小さな一歩の取り組みを続けていこうと思っている。
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Source: masaの介護福祉情報裏板