施設を考える時の夫婦の温度差
さんちゃんのブログを読んで、しみじみ夫と嫁の介護に対する姿勢が全く違うことを痛感した。
確かに実子である夫が、母親を思う気持ちはわからないではない。
独り暮らしをし、なおかつ、体が不自由になったり、認知症になったりしたら不憫にならないわけがない。
引き取って面倒見たいと思うのは当たり前。
だけど、だけど、だけどですね。
面倒を見るのは、
嫁なんです!
日頃から嫁姑関係を良好に築いているならまだしも、確執バリバリで、いい感情を持ち合わせていない嫁を、家政婦のごときこき使い、心も体もボロボロにされるなんてことは、やらなくてもわかること。
わかっていながらあえてその中に飛び込む嫁の勇気はいかばかりのものか、亭主族には永遠にわかるまい。
私たち夫婦が同居を決めたのは、夫はまだ資格試験の最終である3次試験が残っていたからだ。
私が仕事を辞めたので、夫の給料だけでは不安だったこともあった。
私は、母親を早く亡くしていたこともあって、職場でも母親代わりの大先輩がいてくれたし、その大先輩が夫を気に入り、私の背中を押してくれたのだった。
結婚後に我が家を訪れた大先輩が、玄関に活けてある花を見て、
「なかなかのお母さんだね。
あなた、苦労するわよ」
と言われた言葉が今も残っている。
そして、予感は的中。
姑は、ハッキリと最初から自分の意見を言わない。
必ず、
「あなたの好きなようにやってくれていいからね」
と言う。
ところが、これが真っ赤なウソ。
好きなようにやると、コップ一つ違うところに置かれる。
昨日片づけたものが、その場所にない、なんてことはざら。
二階の自分たちの部屋にあがっていると、遊んでいるんじゃないかと気が気じゃない。
しょっちゅう呼ばれるし、日中は居間で暮らすようにと言われた。
買い物一つことわって行かないといけない。
遅くなると詮議される。
それでも姑が心を割って話してくれるような人だったら、母として接することも出来たのに、大事なことはつんぼ座敷。
一番堪えたのは、実父の悪口。
姑の凄さは、決して最初から自分でやるとは言わないこと。
失敗するのが怖いのか、失敗しても自己防衛力は極端に強い。
そのくせ、イニシアチブを取りたい性格なので、相手がやることが気に入らない。
だったら最初から自分でやると言えよっていうことが多すぎ。
3カ月の同居生活だった。
その3カ月は、今の10年の介護生活に匹敵するかもしれない。(笑)
長男が生まれて、新築の家を買った。
夫も家出してすぐに3次試験に受かり、おかげで家を買うところまでになったのだ。
昔話が長くなってしまったが、そんな姑の介護を引き受けた私は、かなりのお人よしと言えるだろう。
よくぞ頑張った10年。
それでも、夫はなかなか施設に腰を上げようとしなかった。
母親が、どうにもならない体の状態になって初めて、諦めたのだった。
もし、姑が、
「家に帰りたい」
と言ったら、夫の心は動くだろうか。
もし動くようなことがあったらその時、私は静かに家を出ると思います。
どこまでいっても夫と嫁の温度差は縮まらないものなのです。
Source: 鬼嫁介護日記